TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(2020年4月25日「未来に残した教訓」)
(2020年5月9日「アインシュタインが見た日本」)→

2020年5月2日「友情のチューリップ」

毎年5月になるとカナダの首都オタワでは街中がチューリップの花で埋め尽くされます。
じつはこのチューリップは74年前から始まったオランダからの友情の印です。

第二次世界大戦でオランダはナチス・ドイツに占領され、オランダの王室は亡命します。
後に女王となるユリアナ王女はカナダに亡命しました。
当時の王女は妊娠中でしたが、オランダには「王位継承者はオランダで誕生した者に限る」という法律があり、このまま亡命先のカナダで出産すれば、生まれてくる子はオランダ国王を継ぐことはできず、ユリアナ王女自身も王族の資格を失ってしまいます。

そこで王女の亡命を受け入れたカナダ政府が行なったのは、王女が出産のために入院していたオタワの病院の1室を一時的にオランダの治外法権区域とすること。
つまり、王女が出産する病室だけをオランダの領土であると宣言したのです。
この特例によって、王女と彼女が生んだ娘は王位継承権を守ることができ、カナダの国会議事堂では王女の出産を祝福してオランダ国家の演奏とオランダ国旗が掲げられました。

オランダの王室と国民は、戦争が終結した翌年の1946年、カナダに10万株のチューリップの球根を贈呈。
以降、毎年2万株の球根を感謝の印として贈り続けているのです。