TOPページへアーカイブへ
提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
←(2018年8月11日「41年目の競泳」)
(2018年8月25日「88年前のトモダチ作戦」)→

2018年8月18日「放浪画家が見た花火」

今年の夏も全国各地で花火大会が開かれています。
最近では、あちこちの花火大会を巡ってカメラで撮影するのが趣味という人も増えています。
そんな花火マニアの元祖が、放浪の天才画家・山下清です。

昭和12年、当時の擁護学校・八幡学園で暮らしていた15歳の山下は、先生の引率で江戸川の花火大会を見に行って感銘を受け、このときのことを貼り絵にしたものが、花火をモチーフにした最初の作品。
18歳になると学園を飛び出して15年間も放浪生活をしますが、その間あちこちの花火大会を巡り歩き、作品にしています。

その後、天才画家として全国に知られるようになると、毎年のように各地の花火大会から招待され、観覧席を用意されるほどになりました。
その中で代表的な作品が『長岡まつり大花火大会』。
夏の夜空に打ち上がる大輪の花火。下に目をやると川面に映る花火の光が静かに揺れています。
川原には、何万ものひしめき合う群衆。その歓声までもが聞こえてきそうです。

山下がこの花火大会を見たのは昭和24年。
戦後4年目で、戦災で亡くなった人々の慰霊として花火大会が行なわれていることを聞かされた山下は、花火を見つめながらこう呟いています。
「みんなが爆弾なんか作らないで、きれいな花火ばかり作っていたら、きっと戦争なんて起きなかったんだな」