2017年11月4日「パンダ王国」
昭和47年11月4日、中国から初めてパンダが上野動物園に贈呈されました。
この日から45年。
日本のパンダといえば上野動物園というイメージがありますが、じつは和歌山県の動物園「アドベンチャーワールド」では23年間で14頭のパンダが生まれ、現在5頭の親子パンダが暮らしています。
中国をのぞけばパンダ出産の数が世界一なのです。
その立役者は獣医師の林輝昭さん。
「希少動物や絶滅危機にある動物を繁殖させることが動物園の使命だ」と考え、過去20年でアドベンチャーワールドのチータを118頭繁殖させ、動物園では難しいとされる北極グマの繁殖も成功させています。
ところが、当時の中国では絶滅危機にあるパンダの繁殖研究に専念するため、国外に出すことを止めていました。
そこで林さんは「中国だけでパンダを増やすより、世界の動物園と協力し合って増やしていくほうが有益だ」と中国の関係者に熱心に説いて回ったのです。
林さんの努力が実ったのは昭和63年。
繁殖を目的としたパンダの貸し借りを行う契約が世界で初めてアドベンチャーワールドで実現。
そして中国側の期待に応え、パンダを次々に繁殖させることに成功したのです。
林さんは昨年病気で亡くなりましたが、彼の意志を受け継いだ飼育員チームが、きょうも熱心にパンダの繁殖に取り組んでいます。
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