2017年6月3日「マイクって何?」
昭和21年のきょう6月3日、アナウンサーが街頭で人々に意見を聞くラジオ番組「街頭録音」の放送が始まりました。
町行く人々にインタビューした声をラジオやテレビで紹介するのは、いまではごく当たり前ですが、その当時はもちろんテレビはなく、またラジオもスタジオの中でしか収録することができず、ましてや政財界や文化人などの著名人ではない市井の人々が出演するなど想像もできなかった時代です。
でも、戦争が終わって民主主義が日本にもたらされた際に、言論の自由が保障されたことをわかりやすく広めるために、一般の人々にマイクを向けるというラジオ放送初の企画が試みられたのです。
収録の場所に選ばれたのは東京・銀座の目抜き通り。
まだテープレコーダーがない時代なので、大きな録音の機械を積んだ車を駐車場に置き、そこから数百メートルもマイクコードを伸ばしてアナウンサーが街頭録音することにしました。
しかし、結果は散々。
2時間もの間アナウンサーが悪戦苦闘して人々にマイクを向けたのですが、わずか6人の声しか拾えませんでした。
その原因は簡単。
当時の一般の人々がマイクというものを知らなかったからです。
人々はマイクを向けられると、まるでピストルでも突きつけられたように飛び上がって逃げていったのでした。
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