2017年5月20日「メートル法騒動記」
1875年のきょう5月20日、フランスのパリに17カ国の代表が集まってメートル条約を締結。長さの単位をメートル、重さの単位をキログラムとすることが国際標準になりました。
日本も明治になってメートル条約を批准しますが、日本にはいわゆる尺貫法という伝統的な単位が生活に根付いていたので、メートルやキログラムという新たな単位はすぐには広がりませんでした。
メートル法が完全実施されたのは昭和34年の計量法改正。
公文書に尺貫法を使うことが禁止され、尺貫法による物差しや秤を製造・販売することも禁止。違反すれば刑罰が課されることになったのです。
この法律に一人異を唱えたのが、去年亡くなった永六輔さんです。
昭和51年、知り合いの指物師が曲尺で仕事をして警察に呼び出された話を聞いた彼は「古くから親しまれている道具で商売をする人たちをないがしろにするな」と、自分のラジオ番組で尺貫法の復権を提唱して全国の職人たちに決起を呼びかけます。
さらには街頭で自ら曲尺や鯨尺を販売し、その足で警察に行って「私は尺貫法の物差しを密売しました」と自首するなどのパフォーマンスを展開しています。
こうした彼の活動が話題を呼び、やがて計量法の罰則規定は廃止。
大工職人は安心して曲尺を使い、着物の仕立て職員は安心して鯨尺を使えるようになったのです。
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