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提供:創価学会
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2017年4月1日「ウグイス嬢物語」

この春もプロ野球の公式戦が開幕しました。
野球の試合で場内アナウンスをする女性のことを「ウグイス嬢」といいますが、日本で初めてウグイス嬢が鳴き声を上げたのは昭和22年。
それ以前は男性がアナウンスしていました。

初のウグイス嬢となったのは、元NHKで事務職員をしていた青木福子さん。
プロ野球放送のアナウンサーの先輩職員に推薦されて日本野球連盟に場内アナウンサーとして雇われます。
ところが、じつは彼女は野球のことを全く知らなかったのです。
例えば「バッターがボールを打つとなぜ走るの?」といった具合。

慌てたのは野球連盟です。
いまさら野球に詳しい人を捜す時間もないので、青木さんでいくしかない。
連盟の職員や審判が講師となって毎日のように野球の講義を行い、その甲斐あって、半年後には青木さんは野球の世界をすっかり理解し、スコアまでつけられるようになりました。
そして昭和22年4月3日、東京・後楽園球場でウグイス嬢としてデビュー。
詰めかけた観客たちはその美声に酔いしれたそうです。
この評判を受けて日本のプロ野球界はすべて場内アナウンスを女性にしていきました。

ちなみにアメリカの大リーグなどは現在も伝統的に場内アナウンスは男性。
つまり、青木福子さんは日本初というより、世界初のウグイス嬢だったのです。