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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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12/20「霧笛」

きょう12月20日は「霧笛記念日」。
霧の笛と書いて霧笛。明治12年のこの日、青森県の尻屋崎灯台に日本初の霧笛が設置されました。

船は灯台の光を頼りに夜の海を航海しますが、霧や吹雪で視界が悪くなると光が届きません。
そんなとき音を使って灯台の位置を知らせるのが霧笛です。
海に向かって鳴らされる「ボオーッ」という重低音。
霧に閉ざされた沖合でそれが聞こえると、船乗りたちは励まされ、港は近いと一安心するそうです。

五里霧中の海を航海する船の頼もしい道標「霧笛」は、町で暮らす人々にも親しまれてきました。
SF作家のレイ・ブラッドベリは、ある夜、誰かの呼び声を聞いたような気がしてふと目を覚まします。
窓の外は霧で何も見えず、遠くで霧笛が鳴っていました。
何か遠い昔のノスタルジックなイメージが湧く霧笛の音。
その体験をヒントに彼は、海の底で孤独に暮らす百万年前の恐竜が霧笛の音を仲間の呼び声と思い、灯台目指してやって来るという作品を書き上げています。

「私はここ、ここにいるよ」
遠くから呼びかけるような哀愁を帯びた霧笛の響き。
しかし、それをいま聞くことはありません。
船舶レーダーの進歩やGPSの普及によって視界不良でも安全に航海できるようになり、平成22年に全国の灯台から霧笛は廃止されています。