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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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3/1「忙しい男」

『タイムマシン』『透明人間』『宇宙戦争』などの空想科学小説を著し、「SFの父」と呼ばれるのが、イギリスの小説家ハーバート・ジョージ・ウェルズ、通称H・G・ウェルズです。

彼は29歳で作家になり79歳で亡くなるまで百冊近くの本を出しましたが、それはSF小説に留まらず純文学や社会小説、文明評論の論文まで幅広く、一旦アイデアが浮かぶと食事中だろが真夜中だろうが、すぐに原稿用紙に向かいました。
また彼は第一次世界大戦の後、戦争を無くすために国際連盟の樹立を提唱。
論文を書いて講演旅行をし、国際会議にも出席しています。

そんな多忙なウェルズに常につきまとったのは病気。若い頃から気管支炎や神経炎、心臓病、腎臓病、糖尿病などに悩まされ、次々に発症する病気とも忙しく戦いながら、多忙な人生を過ごしたのです。

最後にウェルズを襲ったのは肝臓癌。日に日に衰えていった彼は誰とも会わずに自宅に寝たきりになっていましたが、ウェルズ危篤の知らせを聞いた親しい人たちが駆けつけました。

枕元を囲んだ人たちが「しっかりしろ」「頑張れ」などと励まします。
するとウェルズはちょっと迷惑そうな顔をしてひと言。
「わしは今、死ぬのに忙しいのだ」
そうつぶやくと、そのまま目を閉じて忙しい人生の幕を閉じたのでした。