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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2/1「夕餉前」

きょう2月1日はテレビ放送記念日。昭和28年のこの日、日本でテレビの本放送が始まったのです。
では、日本初のテレビドラマはいつ放送されたのか。

昭和15年4月13日。テレビ放送が始まる13年も前に放送されました。
実はテレビの放送技術は戦前からあり、その実験放送としてドラマが作られたのです。
タイトルは『夕餉どき』。
内容は、娘の縁談がまとまって嫁ぐことになり、夕食のすき焼を家族で囲みながら思い出を振り返るというもの。
当時は録画や編集の技術がなかったので、放送されるドラマは待ったなしの生中継。
ところがリハーサルで、大変な問題が起きました。
当時のテレビカメラは感度が悪く、映すものに強烈な照明を当てる必要があったのですが、その長時間の熱で出演者の髪の毛や衣装がちりちりと焦げ出したのです。

そこで熱に耐えられる限度として、ドラマを15分に縮小。
その時間内にすき焼を作って食べることは無理なので、食事の場面は取りやめ、タイトルも『夕餉どき』から『夕餉前』に変更したのでした。

苦労の末に放送された日本初のテレビドラマ。
実験放送なのでごく一部の限られた人しか見られなかった幻の作品ですが、家族の団らんが主流になっていった戦後のテレビドラマの礎となったのが、この『夕餉前』なのです。