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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/20「星になった一貫斎」

江戸時代、いまの滋賀県、近江の国友村(くにともむら)に、国友一貫斎(くにともいっかんさい)という鉄砲鍛冶職人がいました。
彼は本業でも優れた職人でしたが、もうひとつの名声があります。
それは、日本で初めてグレゴリー式反射望遠鏡を作った人。

その当時、屈折式望遠鏡は日本でも竹や和紙を筒にしたものが作られていましたが、一貫斎は鉄砲鍛冶の技術を活かし、ほぼ現代のものと変わらない金属と鏡とガラスレンズから成る高性能な反射望遠鏡を自力で作り上げたのです。

とくに驚かされるのが、鏡。
現存する望遠鏡を調べると、200年近く経った今でも鏡に曇りはなく、これは現代の技術でもかなり難しいことです。
さらに、彼は望遠鏡を使って天体観測を開始。
月や惑星のスケッチが残されていますが、当時世界的にもほとんど例がなかった太陽黒点の長期連続観測も行っています。

しかし、一貫斎の天体観測は突如終わりを迎えます。
それは国友村を襲った飢饉。
村の総代だった一貫斎は望遠鏡をすべて各地の大名に売却し、それで米を得て村を救ったのです。
天体観測を断念したことはさぞ悔しかったでしょうが、彼は自作の望遠鏡が村の役に立ったことを神仏に感謝したといいます。

平成3年、滋賀県の天文台が火星と木星にひとつの小惑星を発見。世界で6100番目に発見されたこの星は「6100 Kunitomoikkansai」と命名されました。