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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/22「愛馬精神」

1932年のロサンゼルスオリンピック。
この大会に出場した日本人で、金メダルを前に競技を途中棄権した選手がいます。
それは馬術の耐久レース・決勝戦に出場した城戸俊三(きどしゅんぞう)選手。

馬術の耐久レースは、馬を駆って山野を32km走り、コース途中に設置された50の障害を飛越しながら全力疾走するというハードな競技です。
愛馬に乗ってスタートした城戸選手は後続を大きく引き離してトップ。
途中で失速することもなく、最後の障害を残すのみとなりました。
ところが、ここで信じられないことが起こります。
障害の直前で城戸選手は馬を停めて下りてしまったのです。

栄光を目前にしながらの棄権。
実はこの時、馬の全身から汗が吹き出し、鼻孔が開き切って、息も絶え絶えに気力だけで走っていました。
もしこのまま最後の障害をジャンプしたら、ゴール後に馬が死んでしまうだろうことが、城戸選手には分かっていたのです。

日本代表としての責任と、愛馬の命、どちらを取るか・・・
彼は迷うことなく後者を選んだのです。

その後、ゴールまで馬と一緒に歩きながらたてがみを叩いて馬を労う城戸選手と、まるで泣いているように彼の肩に鼻を埋める馬の姿を見て、観客たちもその事情を察し、感動の拍手を送ったそうです。