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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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4/17「砂漠を緑に」

モンゴルの広大な沙漠を緑に変えようと、遠大な理想を掲げて行動を起こした日本人がいます。
遠山正瑛(せいえい)さん。
鳥取砂丘での野菜づくりに初めて成功した農学博士です。

彼が鳥取大学の教授を定年退官したのは、66歳。
この歳になって彼は、「世界の食料危機を解決するためには砂漠を畑にすることだ」という持論を実践するために、
中国へ渡って砂漠に実験農場を開きます。

1991年には日本砂漠緑化実践協会を設立。
集まってくれたボランティアの若者たちを連れてモンゴルの砂漠に赴き、本格的に砂漠の緑化を始めたのです。
このとき85歳。
遠山さんは日除け帽子をかぶり、長靴を履き、作業服を着て道具袋を背負い、毎日10時間近くも作業を続けました。
暑い夏の気温は40度に達し、冬はなんと零下20度になる砂漠で、
彼は来る日も来る日もポプラの苗を1本1本植えていったのです。
普通の人ですら大変なのに、高齢の遠山さんにとってどんなに苛酷だったことでしょう。

しかし、「やればできる。やらなければできない」という彼の信念と情熱に全国から寄付金が寄せられ、支援の輪が拡大。11年間でおよそ7000人のボランティアの手によって300万本以上のポプラが砂漠に植林されたのです。

その300万本目のポプラを89歳になって植えた遠山さん。
「なにしろ広大な砂漠相手だから、まだ10年や20年は頑張らなくては」と心意気を語りました。
今、かつての砂漠には根付いて成長したポプラの森が広がり、畑が作られ、農業が始まっています。

そして遠山さんは2004年に97歳で亡くなりましたが、
彼の遺志を受け継いだ日本砂漠緑化実践協会は、いまも砂漠を緑に変える植林を続けています。