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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/5「インドの緑の父」

インドの砂漠をたった一人で緑に変えた日本人がいます。
その人の名前は、杉山龍丸(たつまる)。
作家・夢野久作の長男として福岡で生まれ育ちました。

戦後、セールスマンなどを経てプラスチックの技術者として独立したころ、
知り合いに頼まれてインドからの留学生の世話をしたことから、
彼らが信奉するガンジーのことを知り、その弟子たちと交流を深めていきます。
そんな杉山さんの活動を知ったインド政府は、昭和37年、彼をインドに招きました。
そこで彼は改めて、当時のインドの困窮の凄まじさと、国を良くしようと願う人々の熱意に打たれ、
この国のために尽力しようと誓います。

杉山さんが行なったのは、砂漠の緑地化。
成長が早く根が深いユーカリを植林し、地下水脈をせき止めて水を確保することを提案し、実地指導にあたったのです。

ところが、この事業が始まって間もなくインドに大飢饉が起こり、その対策を優先したインド政府は事業を中止。
それでも杉山さんは福岡に残した土地や財産をすべて投げ打って、それをインドでの植林につぎ込んだのです。

10年後。
総延長470キロの幹線道路には4mおきに植えられたユーカリが大木となって葉を茂らせ、
周囲の土地には稲、麦、馬鈴薯の三毛作ができるようになりました。
この事業に対して日本政府からは一切の援助はなく、
また杉山さん自身が学者ではなかったことから学会からも黙殺され、
一個人が成し得た壮大な緑化事業は、彼が昭和62年に亡くなるまで、
日本ではほとんど知られることはありませんでした。
しかし、インドの人々の間では、
いまなお「インド独立の父はガンジー。インドの緑の父は杉山龍丸」と讃えられています。