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提供:創価学会
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8/22「ベルリンの空に上がった花火」

秋田県大仙市(だいせんし)で開かれる「大曲(おおまがり)の花火大会」は、
明治43年に始まり、戦争による中断や災害のために存続が危ぶまれたこともありましたが、
現在では全国の花火師が目標とする花火大会として名を馳せています。
その大曲で「花火の神様」と一目置かれていたのは、いまは亡き花火師の佐藤勲(さとういさお)さんです。

彼のモットーは、
「花火大会の目的は、花火を打ち上げることだけではない。
花火師同士の交流の中で、伝統や業界の昔話に耳を傾ける。
それが若い花火師の財産になる」というもの。
自ら大会の企画から警備の手配まで携わり、運営を陰から支える存在でもありました。

予算の調達で苦労していた昭和30年代には、花火師に支払う報酬が少なかったため、
佐藤さんはせめて精いっぱいの真心で応えたいと大曲駅に到着する花火師一人ひとりを出迎え、
「遠い中、ご苦労さまです」とねぎらいの言葉をかけたそうです。

昭和62年、ドイツがまだ東西に分かれていた頃のこと。
ベルリン市制750年祭典のフィナーレを大曲の花火が飾ることになり、
佐藤さんは記者会見で、
「ベルリンの地上には壁がありますが、ベルリンの空に壁はありません。
どうぞ、西のお方も東のお方も、楽しんでください」と語りました。
翌日、ドイツの新聞は「ベルリンの空に、壁はない」というタイトルが一面を飾り、
それから2年後、ベルリンの壁は取り払われ、空と同じように一つにつながりました。

今年100年目を迎える大曲の花火大会は、今週28日に大仙市の夜空を彩ります。