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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2/7「華岡青洲を支えた家族」

世界で初めて麻酔薬を使った手術に成功したのは、
江戸時代の医者・華岡青洲(はなおかせいしゅう)です。

和歌山で生まれ育った青洲は、医学を学ぶために京都へ行きたいと父親に申し出ますが、
金銭的な余裕がないことを理由に許してもらえません。
そこで、「私たちが働きますから、どうかお兄さんは医学を学んでください」と応援したのは妹たちです。
青洲は23歳で京都へ旅立ち、妹たちの想いを胸に、寝る間を惜しんで勉強しました。

彼が最も力を入れたのは麻酔薬の研究です。
3年後、和歌山県に戻ってきた青洲は加恵(かえ)と結婚。
加恵もまた妹たちと同じように、包帯の布を織ったり、麻酔薬になる草花を集めたりして、懸命に夫を支えました。
ところが、麻酔薬の完成まであと一歩のところで、本当に人間に効くのだろうかという壁にぶつかってしまいます。

そのとき、「私たちの身体で実験してください」と申し出たのは、年老いた母と妻の加恵でした。
青洲が麻酔薬の研究を始めて、すでに20年。
その間に、大切な妹の一人を乳がんで亡くし、家族は同じ悲しみを乗り越えて、強い絆で結ばれていました。
二人は、試作中の麻酔薬を何度も飲み、加恵は副作用でとうとう目が見えなくなってしまいました。

そんな犠牲の上に完成した麻酔薬。
華岡青洲は世界の医学史に残る医者として、その名が刻まれています。
しかしその陰には、青洲と想いを一つにして夢を支えた、大切な家族の存在があったのです。