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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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1/24「有線放送の絆」

鹿児島県鹿屋市柳谷(やなぎだに)地区。
通称「やねだん」と呼ばれるこの村は、およそ300人が暮らす小さな集落ですが、
もう10年以上前から補助金に頼らずに自分たちで村づくりの財源をつくり出していることで、
全国から注目を集めています。

そのやり方は、住民総出でサツマイモを栽培すること。
それで造った焼酎の売上げを、集落の福祉などに活用する仕組みなのです。
それにしても、村のために、大人も子どもも一丸となって共同作業に取り組む、
その強い絆はどうやって産まれたのでしょう。
その答えは、村の「有線放送」にあります。

全国各地の農村などによくある有線放送では、行政からのお知らせや行事の案内が主ですが、
「やねだん」ではそれに留まらず、結婚や出産、卒業、退職など、集落内1軒1軒のトピックを紹介。
母の日、父の日などの記念日には、故郷を離れて暮らす子どもからのメッセージを預かって、集落中に紹介するのです。
遠く横浜で暮らす娘さんからお母さんに宛てた感謝の手紙。
その結びには「やねだんの皆さん。一人暮らしの母をこれからもよろしくお願いします」と呼びかけられていました。
このときは、お母さんご本人はもちろん、村中の人たち、そして代読した高校生も胸がつまる放送だったそうです。

「やねだん」に住む皆が一人一人の名前と顔を知り、この有線放送を通じて一軒一軒の小さなドラマを知ります。
そこからお互いに感動と感謝の気持ちを共有し、「やねだん」というひとつの集落を
一人一人が支える絆を育んでいったのです。