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12/20「東京駅初代駅長」

95年前の今日。
大正14年12月20日は、日本の鉄道の要ともいえる東京駅が開業した日です。
アムステルダム中央駅をモデルにしたといわれる赤煉瓦3階建ての東京駅は、
まさに日本の表玄関にふさわしいものでした。

その東京駅初代駅長を務めたのは、高橋善一(よしかず)さん。
蒸気機関車の油差し係から出発し、
後には当時の総理大臣から「キミさえいれば、鉄道は心配ない」と信頼を置かれたほど、
鉄道の現場に精通し、その鉄道生活の一生にひとつの過ちもなかった、といわれる人物でした。
そんな彼のあだ名は、「雷おやじ」。
じつによく怒鳴る人で、部下である駅員たちの仕事に少しでもミスがあると、罵倒するのが常でした。

そんな高橋駅長は、駅員たちに恐れられていましたが、嫌われてはいませんでした。
その理由は、決して人前では叱ることはせず、誰もいないところで叱っていたからです。
また、情に厚く、部下の面倒をよくみた人でした。

ある部下が10歳を頭に3人の子供を残して死んだときは、
その10歳の子供を強引に東京駅に就職させて、この家の経済的な危機を救いました。
当時でも10歳の少年駅員は例のないことでしたが、東京駅長としての権限で、それを実現したのです。

そのほか、東京駅で外国人に話しかけられると、
いかにも英語が判るような堂々たる調子で「イエス、イエス、オーライ」を繰り返しながら、
英語の分かる駅員が来るのを待っていたなど、微笑ましいエピソードもたくさん残した高橋善一さん。
その名は、伝説の東京駅初代駅長として、いまも鉄道マンから鉄道マンへと語り継がれています。