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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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11/22「二人のテネシーワルツ」

専業主婦の暮らしをずっと続けていた美智子さん。
老後は、夫婦であちこち旅行をすることを楽しみにしていました。
ところが、その夫が、定年を迎える3年前に若年性アルツハイマーになってしまいます。
定年を待たずに会社を退職した夫を支える毎日の美智子さん。
しかし、夫の病状が悪化していくことを止めることはできません。
さらに、少しずつ記憶を失っていくことの不安から、明るい性格だった夫は鬱に陥っていきました。

そこである日、美智子さんは『テネシーワルツ』のレコードを夫に聴かせてみました。
昔、彼女が夫と出会ったのは、当時流行っていたダンスホール。
二人でペアとなっていつもこの曲で踊っているうちにお互い惹かれ、
この曲で踊りながらプロポーズもされたという思い出があるのです。
結婚してからは社交ダンスも遠ざかり、押し入れの奥にずっとしまい込まれていたレコード。
その古い歌にしばらく耳を傾けていた夫が、やがて立ち上がり、黙って美智子さんの手を取り、ダンスを始めたのです。
胸を熱くした美智子さんは、夫とのダンスを日課としました。

このことがリハビリ効果となったのか、記憶力は減退していきつつも夫は、以前のほがらかな笑顔を取り戻したのです。
「テネシーワルツでダンス」の日々は3年続きましたが、その後、夫は他の病気で寝たきりの身になり、やがて帰らぬ人になってしまいました。

現在、70歳になる美智子さん。
もし自分が死んだときは、棺にそのレコードを納めてほしいと願っています。
それがあれば天国で再び夫とダンスができる、と考えているのです。

きょうは11月22日……いい夫婦の日です。