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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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8/2「女島灯台」

暗い夜の海に、光を照らす灯台。
近年、技術の進歩により、灯台はすべて無人化されました。
その中に3年前まで国内最後の灯台守(とうだいもり)が勤務していたのが、長崎県の女島(めしま)灯台です。

女島は、五島列島の福江島から南西70kmに浮かぶ絶海の孤島。
東シナ海を渡る船にとってはなくてはならない重要な目印です。
昭和2年の初点灯以来、灯台守の方たちは船で食糧を積み込んで島に住み込み、雨水を貯めて飲料水にしながら、80年間灯りを守ってきました。

灯台守の仕事は、発電機を回しながら夜間絶え間なく光を放ち続けることです。
そのほかにも女島付近の気象情報を1時間おきに発信したり、不審な船を見張ったりする業務もあり、交代しながら24時間途切れることなく航海の安全を担うのです。

台風などの悪天候では、常に危険と隣り合わせ。
あるとき、猛烈な台風の風が、灯台の厚さ1センチの窓ガラスを破ってしまいました。
このままでは風圧のために光を出すことができません。
灯台守たちは危険を顧みず、ガラス破片が飛び舞う部屋に飛び込み、体中擦り傷だらけになりながら窓を修復。
日暮れには無事、光を出すことができました。
80年の間には戦争もあり、女島灯台は20数回の空襲を受けましたが、そのときも灯台守たちは自分たちの避難は差し置いて、灯台の要である巨大なレンズを取り外し、山の中に埋めて守ったそうです。

灯台守から灯台守に引き継がれて80年。
全国に3337ヵ所ある灯台の中で最後の有人灯台だった女島灯台は、平成18年、ついにその役割を果たし終えました。
現在は、太陽光発電による全自動運転で夜の航路を照らす女島灯台。
その光は、女島の海の安全を願うかつての灯台守の方たちの、思いの結晶なのです。