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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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7/19「日本発!指先で分かるシャンプー」

「ユニバーサルデザイン」という言葉が、最近あちこちで聞かれるようになりました。
これは、子ども、お年寄り、身体が不自由な人、左利きの人など、あらゆる人にとって使いやすいデザインのことですが、この考え方を最初に思いついたのは、体に障害をかかえる一人のアメリカ人。
彼は車椅子の生活を送る中で、障害者だけに配慮されたバリアフリーではなく、はじめからすべての人に使いやすいものを作って、多くの人に広めたいと考えたのです。

この考え方を受けて、日本で開発された代表的なものが、シャンプーのボトルについているギザギザのデザイン。
目をつぶっていてもすぐに分かるので、とても便利です。

しかし、このボトルの開発は、試行錯誤の連続でした。
例えば、シャンプーとリンスの容器の大きさに違いをつける・・・シャンプーの「シ」の文字と、リンスの「リ」の文字を刻印する・・・さまざまな意見が出ましたが、子どもでも、外国人でも、すぐに判断できなければいけません。
そこで考えられたのが、シャンプーだけに、はしごのようにギザギザが連続したデザインをつけることでした。
ところが、試作品を作って盲学校に持っていってもOKは出ませんでした。
ギザギザを刻む間隔が狭すぎるというのです。
視覚障害の中でも糖尿病が原因の場合、指先の感覚が鈍るケースがあるので、刻む幅の一つひとつにまで気を配る必要がありました。

細かい刻み具合を工夫して、ようやく現在のデザインが完成。
ただ、一つだけ気掛かりだったのは、ほかのメーカーが同じような工夫をリンスのほうにしてしまったら、消費者が混乱してしまうということです。
そこで、このメーカーはアイデアを無料で公開。
そのおかげで、シャンプーのユニバーサルデザインはいっきに海外まで広がっていったのです。
ユニバーサルデザインの考え方が発表されて24年。
商品開発の裏にはいつも、相手の立場を思う優しさと情熱が込められています。