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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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4/5「0.01秒の贈り物」

トップアスリートたちにとって、記録の数字は、永遠に追いかけ、追いかけられるものです。

成田真由実さん。1970年生まれ。
13歳のときに脊髄炎が原因で下半身麻痺となりました。
車椅子の生活の中で彼女が選んだのは、水泳。
さまざまな病状と戦いながら、96年のアトランタ・パラリンピックに出場し、金銀銅合わせて5つのメダルを獲得しました。
とりわけ得意とする100m自由形、50m自由形ではどちらも世界新記録を樹立。
しかしこのとき、彼女の胸に熱くあふれたのは、「タイムより友情」でした。
彼女と同じような障害をもつ世界記録保持者・ドイツのカイ・エスペンハイン。
このカイに勝ちたい一心でここまでがんばってきた成田選手だったのです。
ゴール直後、二人は水の中で抱き合って、お互いの健闘を讃え合いました。
言葉は通じなくても、二人の間には、「4年後もシドニーでいっしょに泳ごう!」という約束が語られていました。

そして、実際、4年後のシドニー大会で二人は再会。
50m自由形で成田は39秒23の世界新を叩き出しました。
その瞬間、プールのロープ越しにライバルのカイが近づき、祝福を贈ります。
二人は泣きじゃくりながら、いつまでも抱き合っていました。

さらに、4年後のアテネ大会。
成田選手はまたも50m自由形で前大会を0.01秒上回る39秒22の世界新を出して優勝しました。
しかし、そこにライバル、カイ・エスペンハインの姿はありませんでした。

障害の病状が進んで、3年前に帰らぬ人となったのです。
そのショックを越えて、「カイの分も背負って泳いだ」と語る成田選手。
0.01秒は天国にいるライバル、カイからの贈り物だったのかもしれません。