3/30 放送分 「ふたりのためのオーケストラ」
明日3月31日は、耳にいい日の語呂合わせで「オーケストラの日」。
各地でさまざまなイベントが開催されると思いますが、今日は、夫婦ふたりのためだけに開かれた心温まる演奏会をご紹介します。
きっかけは今から11年前、神奈川県に住む大学教授が、「自分が退職したら、退職金をすべてはたいてオーケストラを招き、夫婦ふたりで食事会をしたい」と語ったことから始まります。
奥様はそんなご主人を「夢見る夢太郎みたい」と新聞の読者の投稿欄に投書。この記事をたまたま目にした埼玉県の市民オーケストラの団長は「なんて素敵な夢をもった人だろう。何とか叶えてあげたい。」と胸をはずませ、すぐにこのご夫婦に連絡を取ります。
団長のモットーは、「人生をもっと楽しく、味わい深く」。いつも唐突にイベントを計画しては周囲を驚かせていたアイデアマンだったので、その大学教授と意気投合したのかもしれません。
それ以来、毎年秋に開催される定期演奏会にご夫妻を招待していました。
そして去年4月、団長率いるおよそ50人のオーケストラが、ついに、二人の為に1時間の演奏会を開催しました。10年越しの夢が叶ったのです。
リクエスト曲だったヨハン・シュトラウスの『こうもり』やビバルディ『四季』の「春」などが流れると、二人はじっと目を閉じて体を揺らしながら聴き入ります。演奏後に立ち上がって拍手を送ったご夫婦は、「本当に素晴らしい。生きているっていいですね。」と感激を伝えました。
すると、今度は団長がステージから呼びかけました。
「夢見る夢太郎さん。退職後は奥様と"ひととき"を楽しみながら、幸せにお過ごしください」。
オーケストラの団員も、二人の観客も、いつまでもあたたかい余韻にひたっていました・・・・。
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