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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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10/1放送分 「インギー鶏」

鹿児島本土の南に浮かぶ種子島にこんな話があります。

今から100年以上昔、香港に向かっていたイギリスの帆船ドラメルタン号が嵐にあい種子島に漂着しました。それを発見した島の村人たちは、救助に向かい、29人の乗組員を浜に上げ、自分たちの家に収容したのです。
さらに、座礁して壊れた船から荷物を運び出し、船の引き出し作業に協力。イギリスから迎えの船が来るまでのおよそ4か月間、村人たちは29人の乗組員を「インギーさん」と親しみを込めて呼び、手厚くもてなしました。
インギーさん……これは「イギリス」が島の方言で訛った言葉です。
そのインギーさんたちがいよいよ島を去るときには、浜辺でお別れのパーティが開かれ、お互いに涙を流して別れを惜しんだそうです。
当時の帆船では長い航海のために食料として動物を船内で飼っていましたが、遭難したドラメルタン号には鶏(ニワトリ)が飼われていました。
29人の乗組員はその鶏(トリ)の11羽を感謝の気持ちを込めて村人たちに置いていったのです。
茶褐色の艶のある毛と、短く丸い尾羽。見たこともない珍しい鶏(ニワトリ)を、村の人々は「インギー鶏」と名付けることにしました。

100年以上たった現在も、この浜の近くに建つ花峰小学校では、インギー鶏が大切に飼われています。子供たちが校庭の片隅にあるニワトリ小屋に駆け寄り、自主的にえさをあげたり、背中を撫でたりしてかわいがっています。島の人々もその贈り物を大切に守り、今では種子島ブランドの特産品になっています。

国を越えた感謝の心がもたらしたインギー鶏。種子島ではイギリス人を島の言葉で「友達」という意味の「トンミー」と呼び、イギリス祭りを開催するなど、イギリスとの心の交流、思いやりは今も続いています・・・・。