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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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9/17放送分 「牧水忌」

日一日と秋の気配を感じる季節です。
四季の移ろいがある日本には、その自然の姿に人の心を重ね合わせる短歌や俳句という独特の文学が生まれました。自然や人間への溢れる思いを色鮮やかな 9000の歌に残し、今、全国に300近い歌碑がある国民的な歌人といえば若山牧水です。
明治18年、宮崎県生まれ。現在は日向市となった旧東郷町に牧水の生家が残されています。旅と酒、そしてふるさとの歌人といわれる若山牧水。
実際、彼は数えきれないほどの旅をし、多くの旅の歌、自然の歌を詠み、また、お酒が大好きだったことから多くの酒の歌も残しています。
しかし、歌人として名が知られるようになっても、若山牧水はいつもお金に困っていたようです。歌をつくること以外には無頓着で、売れる当てもないのに短歌の同人誌を作っては売れずに大借金。後先のことを考えずに気まぐれでふらっと旅に出たりして、回りの人たちを振り回していました。
また、時にはお酒を飲み過ぎて酔っ払い、顰蹙をかったりもしていたようです。それでも、彼は生涯少年のような純粋な心を持ち続け、迷惑をかけられても懲りずに彼を手助けする人が次々に彼の前に現れました。
牧水と結婚した貴志子さんもその一人。彼との間に生まれた息子が後年、「よくあんなお父さんと結婚する気になったね」と尋ねたとき、彼女はこう答えたそうです。「私はお父さんの目に負けたんだよ。風采は上がらないけど、あのキラキラして澄んだ目の持ち主に悪い人のいるはずはないと思ったから」

昭和3年。44歳の若さでこの世を去った若山牧水。彼の最もよく知られた歌のひとつを紹介しましょう。
「白玉の 歯に染み通る 秋の夜の 酒は静かに 飲むべかりけり」
きょう9月17日は、彼の命日である「牧水忌」です。