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「メカ少女プラモ」の変遷と魅力

 30代後半〜40代の男性ならおそらく一度は通る趣味「プラモデル」。「ガンプラ」などのロボット系をはじめ、「戦車」、「飛行機」、「車」、「城」などニッチなものまで。ジャンルは多岐にわたるが、そんななか近年、一躍注目を集めたジャンルがある。――「メカ少女」だ。ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』(通称「艦これ」)に代表されるような、“少女”に“メカ”をかけ合わせたビジュアルのものだが、アプリゲームなどでも数多く登場し、既に市民権を得たと言っても過言ではない。メカ少女系プラモデルの草分け的存在である「コトブキヤ(KOTOBUKIYA)」で企画チームのマネージャーを務める野内秀彦氏に「メカ少女」の魅力とシーンの変遷を聞いた。

【写真】大胆メリハリ美ボディにドキリ!薄ピンクな肌感が妙にリアルな美少女プラモ

■同人誌から生まれた“メカ少女プラモ”のパイオニア「フレームアームズ・ガール」

 「コトブキヤ」は『新世紀エヴァンゲリオン』のフィギュアで、フィギュアブームの火付け役となった老舗モデルメーカー。09年には独自のプラモデル商品「フレームアームズ」シリーズを展開し、その流れから「メカ少女」系である「フレームアームズ・ガール」(以下「FAガール」)や「メガミデバイス」などのヒット作を生み出した。野内秀彦氏はその双方の商品企画担当者だ。

「『フレームアームズ』は、広範囲な稼働とポージングが可能な弊社のオリジナルロボットプラモデルで、フレームアーキテクトという共通素体に武装などの改造や流用、組み換えを自由に行って遊ぶ弊社のヒットシリーズです。メカデザインは柳瀬敬之さん(『機動戦士ガンダム00』『革命機ヴァルヴレイヴ』など)が担当されていたのですが、それをイラストレーターの島田フミカネさん(『ストライクウィッチーズ』『ガールズ&パンツァー』など)が同人誌で“メカ少女化”したことから『FAガール』が始まりました」(野内氏/以下同)

 「メガミデバイス」は、原型師の浅井真紀氏の新規素体「マシニーカ」をベースに、メカ少女コンテンツ『武装神姫』のプロデューサーだった鳥山亮介氏がプロデュース。「FAガール」が「フレームアームズ」から派生したものであるのに対し、完全オリジナルの製品・世界観となっている。

■フィギュアでは値段が2倍!? 価格を抑えるために生まれた“メカ少女プラモ”

 「FAガールズ」の生みの親ともいえる島田フミカネ氏について野内氏はこう語る。

「島田さんのデザインの最大の魅力は、“可愛い”と“格好いいメカ”が高いレベルで共存することです。少女を描ける人やメカを描ける人はたくさんいるが、その両方を描ける人は少ない。中でも島田さんは非常にメカにも造詣の深い方です。『FAガール』の元の『フレームアームズ』だけでなく、『ガンダム』等で有名なメカニックデザイナーの柳瀬敬之さんにも引けを取りません。メカ部分が分かっているメカ少女のイラストレーターとそうでない方では、メカ好きのお客様からすると明らかにデザインの差が分かってしまいますね」

 シリーズ当初はアクションフィギュア全盛の時期だったが、製造する中国の人件費や材料費の高騰、円安が進んでおり、このままでは値段が2倍近くの高さになってしまうことを不安視。顔や髪型、武装などのギミックをカスタマイズできる“遊び”を大切にし、「コトブキヤ」は同製品をプラモデルとして販売。そしてこれがヒットの理由の一つともなった。

「値段以外で、フィギュアとプラモデルの違いを説明する場合、簡単に言えば、フィギュアはアニメファンが、プラモデルはメカ好きが購入することが多いです。また、プラモデルファンは硬派な人たちが多く、モデラー的思考を持って玄人目線で語る方々が多いように思えます。そういった楽しみを提供できたのがお客様に受けた理由の一つなのかと考えます」

 だがメカ少女のプラモデルと言えば1985年頃、バンダイが「アーマードレディー」という『機動戦士Zガンダム』などのロボットを美少女化して販売した経緯もある。残念ながらそれはヒットにつながらなかったが、何故「FAガール」はヒットしたのか?

「最も考えられるのは塗装済みの顔パーツです。簡単に言えば島田さんが描いた少女の顔は、島田さんが描かないとその可愛さは再現できない。ですが弊社はフィギュアにも強く、その技術を使って塗装済みの顔をパーツとして取り入れました。故に『メカ少女』の可愛さを損ねることなくプラモデル化ができたのです。またメカ部分については元々弊社がメカ物プラモデルにも強いことも奏功しました」

■プラモデルの“箱絵文化”を継承しつつ、「メカ少女」を一つの“カテゴリー”へ

 実は「メカ少女」の歴史自体は古い。先述の「アーマードレディー」をはじめとして、『機動戦士ガンダム』の敵機「グフ」をモチーフにし、後にフィギュア化された「グフレディ」。80年代の子供向け漫画の名作『プラレス3四郎』のビキニアーマーをまとった「桜姫」などが代表例だが、野内氏は「さらに遡れば、『ミクロマン』『デロイアナナ』などもその源泉となるのでは」と分析する。

 非常にニッチなジャンルだが、何故それが今、ここまでの市民権を得ているのだろうか。

「おそらく『艦これ』『アリスギア・アイギス』などのソーシャルゲームの影響が大きいと思います。メカ少女ソーシャルゲームが大ヒットし、一般的な方々も遊ぶようになった。また、キャラクターの可愛さとメカの格好良さのいいとこ取りという面でも語れると思えます。さらに言えば現実にはあり得ない組み合わせで、そのギャップがファンの心をくすぐるところが。例えば、裸の部分があるのに重火器を持っていますし、戦う相手も女の子。実際に戦ったら大怪我をしてしまい危なかっしくて仕方ありません(笑)。でもそうした描写はありませんし、結果、想像力を刺激し、“都合の良いフェチズム”を喚起しているのではないでしょうか。そんな“お客様にとって都合の良いコンテンツ”とも言えると思っています」

 野内氏はいずれ「メカ少女」を、「ガンプラ」、「飛行機」、「戦車」などと同じように、プラモデル一つの「カテゴリー」として成立させたいと語る。そのためのこだわりの一つとして、箱の天面には、しっかりとメカ少女のイラストが掲載されている。

「当初はイラストなしテキストのみの、もっとオシャレな箱にしようとも考えたのですが、それでは直接的に中が見えないパッケージの多いフィギュアと同じような扱いになってしまう。あくまでもプラモデル文化というのは、箱の天面に描かれたイラストのものが中に入っていること。そうした伝統的な“箱絵”文化を継承しつつ、『メカ少女』のジャンルを盛り上げていきたい」

 美少女系のイラストの箱では、買うのが恥ずかしいという人もいるだろう。だが、近年はネット通販が一般化しており、店頭で買わずとも良い時代になっている。古い歴史を持ち、ソーシャルゲームの隆盛、ネット通販の一般化など、“時代”にも愛された「メカ少女」。今後、このニッチなジャンルが、さらなる市民権を得ることが出来るのか。サブカルチャーとメインカルチャーの壁が曖昧になっている今だからこそ、ニッチな「メカ少女」から目が離せない。

(取材・文/衣輪晋一)

(提供:オリコン)

2019年06月13日 08時40分配信


メカ少女プラモの代表作『フレームアームズ・ガール』(フレズヴェルク)

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