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インフラ点検に“スマートセンシング”導入へ 6月より近江鉄道などで実証開始
大阪大学 産業科学研究所
2025年5月14日
大阪大学 産業科学研究所
大阪大学 産業科学研究所の荒木准教授は、近江鉄道・近江鉄道線管理機構や滋賀県東近江市などと連携し、地域交通を支えるインフラ構造物の維持管理にスマートセンシング技術を導入する実証実験を、2025年6月より開始する。
この発表は、5月20日(火)に開催される「大阪大学 産業科学研究所・工学研究科 定例記者発表」の場で行われる予定で、同日は、工学研究科の藤田克昌教授・医学部付属病院の名井陽教授による「手術を『みる』、細菌を『知る』:医工共創の最新成果」の発表も予定されており、医療分野における顕微鏡や診断技術の最前線についても紹介される。
スマートセンシング技術の新規実証を6月より開始
産業科学研究所 ・ 先導的学際研究機構
荒木 徹平(あらき・てっぺい)准教授
(専門領域:ものづくり技術、電気電子材料工学)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202505138726-O2-79LFBwgl】
ポイント
◆ 近江鉄道・近江鉄道線管理機構や滋賀県東近江市などと連携し、地域交通を支えるインフラ構造物の維持管理にスマートセンシング技術を導入する実証実験を、6月より開始
◆ 地域インフラの維持管理が厳しくなりつつあるなか、多点かつリアルタイムに遠隔計測するセンサシステムを構築し、それを活用した効率的な点検・モニタリング手法の実現を急ぐ
◆ 産学官民の連携を通じて、地域に根ざした持続可能な社会インフラの創出を目指す
概要
大阪大学産業科学研究所の荒木徹平(あらき・てっぺい)准教授は、安心・安全な暮らしを支えるインフラ構造物の「見えない劣化」や「潜在的リスク」を効率的に評価する「スマートセンシング技術」の研究開発を進めています。今春締結した近江鉄道・近江鉄道線管理機構や滋賀県東近江市などとの連携協定に基づき、地域住民の移動を支えるインフラ構造物を対象にした実証実験を、今年6月より開始いたします。
記者発表当日は、プロジェクトの概要説明に加え、センサシステムのデモンストレーションを行います。
近年、激甚化する自然災害や少子高齢化による人手不足により、インフラの維持管理がますます困難さを極めています。橋梁やトンネルなどのインフラ構造物は、利用状況や経済性を踏まえた管理者の判断と、法令やガイドラインに則った適切な点検や保全が求められる中で運用されており、現場の負担は増加する一方です。限られた人材・資源・財政で老朽化するインフラに対応し続ける現状は、すでに限界に近づいているとの指摘もあり、地域社会にとって深刻な課題となっています。
こうした背景のもと、大阪大学先導的学際研究機構が設置する「住民と育む未来型知的インフラ創造拠点(FICCT)」において、荒木准教授は、2023年4月より研究課題リーダーを務め、大阪府の摂津市や豊能町などが管理するインフラ構造物を対象に、スマートセンシング技術の構築と実証実験を重ねています。現在は副プロジェクトリーダーとして、拠点運営メンバーと共に社会実装や適用エリア拡大を図っています。今年6月からは、新たに近江鉄道・近江鉄道線管理機構や東近江市が管理する多種・多様な橋梁を実証フィールドとし、これまで蓄積してきた知見・成果をフル活用することで、点検コストや人的負担の軽減を目的とした、効率的な点検・モニタリング手法の構築を急ぎます。
各地で行っている実証実験では、車、バス、鉄道、バイク、自転車、徒歩といった地域住民の様々な移動を支えているインフラ構造物のうち、橋梁、トンネル、擁壁などに潜むリスクを「見える化」するために、多点かつリアルタイムに遠隔計測するセンサシステムを開発・活用します。そこでは、歪、亀裂、傾斜などの変化を捉えるセンサ類を基軸とし、内部を見える化できる電磁気的手法なども併せて複数種類データを蓄積・解析することで、インフラ構造物の健全性評価を高信頼に行うことが可能となります。このようなスマートセンシング技術は、維持管理担当者にとって有意義な支援ツールとなります。例えば、構造物の劣化兆候を早期に捉え、予防保全につなげることで、住民の安心・安全な暮らしを「さりげなく」支える取り組みが可能になります。
荒木准教授は、担当するFICCT内の研究課題グループにおいて、エレクトロニクス・土木・建築・農学・機械・情報といった多様な分野の研究者と連携し、地域ごとのニーズに柔軟に対応できるセンサシステムの応用にも力を入れています。人々の暮らしを見守る技術の実現を通じて、「スマートな未来社会」の構築に挑み続けています。
(補足)
・ 近江鉄道線管理機構との連携協定(令和7年3月26日)に関して
開業から120年以上にわたり地域交通を支えてきた近江鉄道線は、2024年度から公有民営方式による上下分離に移行し、施設・車両の保守管理を管理機構が担っている。人口減少や老朽化が進む中、持続可能なインフラ維持と地域交通の活性化が課題となっており、今回の協定では、大阪大学先導的学際研究機構が有するスマートセンシングなどの先端技術を活用し、鉄道運営の新たな維持管理手法やスマートメンテナンスの基準づくりに向けた連携強化が図られる。
・ 滋賀県東近江市との連携協定(令和7年3月26日)に関して
同市と大阪大学先導的学際研究機構および株式会社HAKATTEとの間で、インフラ構造物の老朽化対策に関する産学官連携協定を締結した。市内の多様な地域を実証フィールドとし、橋梁点検におけるスマートセンシング技術の活用を通じて、情報の収集・分析・評価・予測に基づく効率的な点検体制の構築と、点検費用や人的負担の軽減を目指す研究開発が進められる。
記者発表のご案内
本件に関しては、「産研・工学研究科定例記者発表」にて発表を行います。
一般の方のご参加はできません。
(同日発表)
『手術を「みる」、細菌を「知る」:医工共創の最新成果』
大学院工学研究科 応用物理学系専攻 藤田克昌(ふじた かつまさ) 教授
医学部附属病院 未来医療開発部未来医療センター長 名井陽(みょうい あきら)教授
※発表の詳しい内容に関しては、リリース原稿PDFをご参照ください
荒木徹平 准教授(阪大・産研)
阪大・産研ロゴ
大阪大学 中之島センター地図
プレスリリースPDF
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M107857/202505138726/_prw_OR1fl_YCwh2SM7.pdf
プレスリリースURL
https://kyodonewsprwire.jp/release/202505138726
本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。詳細は上記URLを参照下さい。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。