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MSCI:サステナビリティ・気候変動 注目のトレンド2025

MSCI合同会社

 
報道関係者各位

MSCIが毎年発行している「サステナビリティ・気候変動 注目のトレンド」の13回目となる最新版が本日発表になりました。

2025年以降の投資家や企業を取り巻く環境を形作る主要トレンドに焦点を当てた最新レポートでは、パブリック市場、プライベート市場、炭素市場を中心に、投資家のリスク管理や投資戦略の長期にわたる財務的な成功を左右する喫緊の課題を掘り下げます。

2025年の主な注目トレンド:

気運高まるプライベート市場:エネルギー移行のソリューションを求めて
世界中の投資家は今、リスクの軽減と、再生可能エネルギーやクリーンテクノロジーがもたらす機会の獲得を念頭に、ネットゼロ・ポートフォリオの推進よりもエネルギー移行を重視するようになっています。不確実性や課題を抱えるパブリック市場に対して、プライベート市場では、クリーンテクノロジーや再生可能エネルギーへの投資に対して明るい見通しが示されています。

パブリック市場とプライベート市場で異なる低炭素ソリューションへのエクスポージャー
·       パブリック市場では、低炭素ソリューションを提供する企業グループの市場価値の約30%が一般消費財セクターにあり、その大半を自動車メーカーが占めています。
·       プライベート市場では、同様の企業グループの市場価値の半分以上が公益事業に集中しており、中でも再生可能エネルギーの比率が高くなっています。
·       資本財・サービスセクターは、パブリック市場で27%、プライベート市場で22%と、いずれの市場でも大きなシェアを占めます。
パブリック市場は市場価値の大きさ、プライベート市場は成長速度
·       低炭素ソリューションを提供する企業グループの市場価値は、パブリック市場ではプライベート市場の23倍近くにのぼります。
·       一方で、同様の企業グループの市場価値を過去5年間の年平均成長率(CAGR)で見てみると、プライベート市場は17.0%で、パブリック市場の11.9%よりも相対的に高いことが分かりました。
アウトパフォームするプライベート市場の低炭素ソリューション投資
·       低炭素ソリューションを提供する企業グループの5年間の累積リターンは、プライベート市場では123%に達し、パブリック市場(57%)とMSCI ACWI IMI(61%)を上回りました。

気候変動の現実と向き合う
2024年の夏は記録上最も暑く、世界各地で異常気象が観測されました。金融市場は現在、異常気象に起因するマクロ経済的損失を広く認識しており、2025年には投資家による気候適応へのアプローチに変化が起こる可能性があります。

異常気象の経済的影響に関する強力なコンセンサス
·       MSCIサステナビリティ研究所の気候リスク調査によると、対象となった350人の金融市場関係者(うち4分の1がアジア太平洋地域(APAC)の回答者)のほぼ全員が、世界的な気温上昇による物理的環境の変化は経済に大きな影響を与える可能性があると考えています。
·       排出量や気温上昇に関しては様々な意見がありましたが、異常気象の経済的影響については共通認識が見られました。APACの回答者は深刻な影響を予想する傾向が強く、43~46%が経済破綻の可能性を懸念しています。
気候適応への支出を機会ととらえる
·       企業は、異常気象に対するレジリエンスを強化するために、グリーンボンドの資金を活用した投資を行っています。2023年の時点で、公益事業のグリーンボンド資金の18%が気候適応対策に割り当てられています。
·       気候適応のための支出は、必ずしも大規模なインフラプロジェクトに充てられるわけではありません。このような支出を機会ととらえる投資家は、気候適応やレジリエンス向上のためのソリューションを提供するパブリック市場の上場企業を投資対象として検討することができるかもしれません。
·       MSCIサステナビリティ研究所がGlobal Adaptation and Resilience Investment (GARI) Working Groupと共同で、気候レジリエンスや気候適応のソリューションを提供している公開企業800社以上を特定しました。保険、公益事業、資本財、素材、輸送の産業グループ企業への投資家にとっては、気候適応の支出が企業の業績に影響を与える可能性が高いことが分かりました。

キーワードは「社会」:変化する世界の株式市場における持続可能性リスクの形
巨大ハイテク企業の台頭によって世界の株式市場の勢力図が変化し、時価総額指数における他セクターの比重が減少しました。特に人的資本とデータセキュリティの確保が不可欠なIT分野では、社会リスクが顕著に高まっています。こういった環境の変化が、持続可能性リスクや業績に影響をもたらしています。
·       過去11年間で、企業の社会リスクの管理能力が業績比較において同業他社との違いをもたらしている主要指標の一つとなっていることが明らかになりました。APACでも同様に、過去10年間、社会リスク管理が進んでいる上位企業の業績が下位企業を上回っています(2013年1月から2024年3月までの累積リターンは68%)。
·       株式には明確な世界的傾向がみられるものの、全ての地域がまったく同じというわけではありません。セクターや企業の構成は地域ごとに異なり、持続可能性の課題の相対的な重要性も様々です。
·       そこで、資産配分の目標を設定している投資家は、資産クラスを変更することで持続可能性リスクへのエクスポージャーが変化するだけでなく、地理的エクスポージャーも同様であることを認識しておく必要があります。APACの先進国市場(オーストラリア、香港、日本、ニュージーランド、シンガポール)の構成銘柄では社会的課題の比重が平均して高いのに対し、新興国市場の構成銘柄では環境的側面のほうが財務的な重要性が高いことが分かりました。

炭素市場にとって2025年は転機の年となるのか
世界の自主的カーボンクレジット市場では、統合とクレジット品質の精査が進んでいます。取引量と価格は膠着状態にあるものの、強固なファンダメンタルズと、Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation(CORSIA)やコンプライアンス市場などの新たな需要源の存在が、今後の成長の可能性を示唆しています。また、COP29におけるパリ協定のクレジット制度の進展によって、2025年に世界のカーボンクレジット市場が転機を迎え、市場規模は2024年の15億ドルから、2030年には70億~350億ドル、2050年には450億〜2000億ドルに拡大する可能性があります。

量より質を重視
·       MSCI Carbon Marketsによる4,000以上の自主的カーボンプロジェクトの分析から、償却したクレジットの47%が低評価のプロジェクト(B以下)のものであることが明らかになりました。しかし、低評価のクレジットが減少し、高評価のクレジットが増加するなど、カーボンプロジェクトの十全性は向上しています。新規の案件ではさらに十全性の高いプロジェクトが増えています。
カーボンクレジットの使用が多い企業は優れた気候指標パフォーマンスを達成
·       カーボンクレジットを使用している企業は、スコープ1およびスコープ2の排出量を年間3.6%削減した一方で、非使用企業は1.5%にとどまりました。APACにおける排出量の削減ペースは、クレジット使用企業(-2.4%)が非使用企業(-0.6%)の4倍早く、クレジット使用企業の方が排出削減のパフォーマンスが優れていることが示されています。
新たな需要源の台頭
·       国・地域別のカーボン市場は、コンプライアンス用のカーボンクレジットの使用に慎重な姿勢を示していますが、中にはクレジットの使用を支持する国もあります。APACでは、オーストラリアが排出税や取引制度の一部として国内のカーボンクレジットを10年以上前から取り入れており、シンガポールでは2024年に課税対象排出量の最大5%までカーボンクレジットを認めました。

生成AIモデルの「データ取り放題」は終了へ
企業のAI支出は2025年までに倍増する見込みですが、投資家や規制当局はそれほど楽観的ではないかもしれません。企業はリターンや透明性の確保に対するプレッシャーに直面し、膨大な量のデータは同時に大きな課題ももたらします。「自由競争」の終焉によって、しっかりとした基盤を持つ企業と、短絡的な企業の違いが明らかになることでしょう。
·       来年には主要市場でAIに特化した新たな法規制が導入されることから、既存のプライバシー法に加えて、データへの合法的なアクセスに対するさらなる規制上の制約が導入される可能性があります。
·       2024年10月時点で、主要なAI開発企業7社のうち5社が、公開データ、ライセンスデータ、およびユーザーデータなど使用しているデータソースを公開しています。これは合理的に思えるかもしれませんが、公開情報であっても商業目的の使用はプライバシーや著作権の規則に違反する可能性があり、慎重なデータ管理の必要性を浮き彫りにしています。
·       Data Provenance Initiativeの調査によると、2023年から2024年にかけて、ウェブサイト所有者がコンテンツへのWebクローラーのアクセスをブロックする措置を講じた結果、高品質なデータの利用可能性が25%減少しました。
·       変化しつつあるAI規制の状況は、企業や投資家にリスクをもたらし、消費者に対しても悪影響を及ぼすかもしれません。主にプライバシー、著作権、およびバイアスが懸念されますが、これらの問題に早期に取り組むことで、成功するAIプロジェクトと、流行に乗った過剰な投資を区別できるようになるでしょう。

レポート全文を添付いたします。具体的なトレンドに関する詳細な情報をご希望の場合は当社の専門家をご紹介させていただきますので、ご遠慮なくお申し付けください。


プレスリリースURL

https://kyodonewsprwire.jp/release/202412111525

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。詳細は上記URLを参照下さい。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。