第2章「君は兵を挙げたまえ」脚本・演出を担当致しました日下部信です。
この、長崎の大商人・梅屋庄吉(1868ー1934)が、
孫文を積極的に支援していく史実に基づき、
その生涯の前半を第2章ではドラマにしました。
(後半は、第8章や第11章に登場します。)
梅屋庄吉の65年間の生涯を俯瞰して見ますと、
孫文との出会いの前・後で分けられる気がします。
前半は長崎商人として国内外問わず失敗と成功を繰り返しながら
貿易業や香港での写真館経営など、
経営基盤を固めていった印象を受けます。
その中で、しっかり者の妻・梅屋トクと出会い、結婚。
また、旅の途中、船の上でアメリカ人船長が
コレラに感染した中国人労働者を生きたまま海に捨てた光景を目撃。
欧米に警戒感を強め、対抗出来るアジアの国々でなければならないという
考えに至ります。
後半は、梅屋庄吉が孫文との関わりを深め、
一生に渡って心から支え、莫大な資金援助をおこなっていきます。
孫文と宋慶齢の関係にもひと役買うことになり、
まさに孫文にとって、
梅屋庄吉は強い絆で結ばれた日本人のひとりと言えます。
私が脚本を書く上で苦労した点は・・・
いくら孫文の革命と言えど、
私財をなげうって援助するという、
その器の大きい性格がもうひとつピンと来ませんでした。
それをしっかり理解し、イメージ出来るまでに時間がかかりました。
しかし、取り組む中で、分かって来ました。
さらに、百年前の国の違いなど軽々と越えた人間の絆というものに、
私は突き動かされました。
悲惨な戦争の歴史によって、
いかに私たちの歴史観が偏ったものに
なっているかを感じるきっかけにもなりました。
さて、もうすぐ放送となりますが、
これを機に、長崎の梅屋庄吉さんの活躍がもっと知られ、
九州の人間が、ものすごく大きなスケールで、
革命的働きを為したことを知って頂ければ幸いです。
なお、2011年に放送された
FMFUKUOKA『"孫文と九州"を語る』
http://fmfukuoka.co.jp/sonbun/
を合わせてお聴き頂くと、よりお楽しみ頂けると思います。
第2章 キャスト
孫文・・・・・・・・・・永淵幸利
梅屋庄吉・・・・・・二橋康治
梅屋トク・・・・・・・杉山英美
梅屋吉五郎・・・・山田高廣
秘書恩田・・・・・・田中富士夫
トメ子・・・・・・・・・古賀麻里沙
華僑ヤン・・・・・・山口浩二
写真館従業員・・畦かなえ
カントリー・・・・・・矢山 治
宗 慶齢・・・・・・・渡辺美穂
技術・・・・・・・・・・内野 彰
生越盛幸
作演出・・・・・・・・日下部 信
監修・・・・・・・・・・阿久根知昭
企画編集作曲・・大塚和彦
制作・エフエム福岡
ライトスタッフギルド